【仔羊肩ロース肉のガーリックバター焼】
どうしてもライフワークのように「新しいメニュー」を考えてしまうわけですが。
とはいえ、
特に歳をとるといろいろ保守的になるから、そうそう簡単に「新しい」なんて発見できないものなのです。
幸い私の店は「びっくりするような革新的なもの」を出すと、お客さんも驚いてお酒もすすまなくなってしまうと困るので「安心なおいしさ」くらいが狙い目です。
「仔羊肩ロース肉のガーリックバター焼」
1980年代前半はまだ仔羊肉は一般的ではなかったかと記憶してます。
オーストラリアやニュージーランドからの「冷凍もの」が主で(たぶん高級ホテルなどはチルドのものがあったのかも)
私が初めて「仔羊ロース」いわゆる「ラムチャップ」を見た時は「ずいぶん小さい豚肉だな」と思ってました。
当然肉をさわれるポジションでもなかったし、ホントに無知だった上に、いろいろ勉強するヤル気まんまんなタイプでもなかったもので。
その肉はオーブンで焼くと「いつもの肉と異なる臭い=異臭?」
当然のように調理場中に「香り」というか「匂い」がしてました。
それでも骨付きロース肉の上にガーリックバター(パセリが入ってる緑色のエスカルゴで使うヤツ)を乗せて焼き上げたものは、滅多に出ない料理でしたが、先輩達がいつもより気を使っているのがわかりました。
そんな時代を経て、おそらく80年代後半くらいから「チルド」のものが流通するようになって、
私も含め、多くの人が「仔羊」の旨さにはまっていくわけです。
肉の質が良くなってくると調理法も変わっていき、仔羊ロースの骨を外し、真ん中のいい部分だけを取り出し、パイで包んで仕上げたものなどが登場してきて、
「これがフランス料理だよな」と誇らしげでした。
最近では残念ながら「仔羊ロース」の値段も上昇気味で、
当店の「おつまみ価格」では難しいことからもっぱら「肩ロース」を使っているのですが、
いい意味で「仔羊」らしく、香りも含めたワイルドさが「飲み屋」的で、私は好きな食材です。
ちなみにフランス産の仔羊はオーストラリア産とはまた全く違う印象で、
「ザ・赤身」という感じではなく、むしろ繊細な味とも思えます。
そこで、80年代に魅了された「ガーリックバター焼」を思い出し、今回リメイクしてみました。
現代の技法を用い、部位も作る行程も全く違うのですが、ただただ「仔羊とガーリックバターってやっぱり最強だゼ!」みたいな雰囲気が伝わればいいなと思います。
近日中に登場予定!